研究紹介

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予防医学センターでは人間ドックサービスを行うとともに、学術面では臨床研究も行っております。

臨床データをもとにしたデータベースの構築と予防疫学を推進します。それにより、科学的データに裏付けられた今後の生活習慣指導と診療への応用が期待されます。

研究への御理解をいただき、寄附の申し出をいただく場合があります。その際には、以下にご連絡をいただけると幸いです。皆さまからのご厚意も含めて、医学的なエビデンスレベルの高い研究を推進してまります。
 ① E-mail: YAMAMICHIN-INT[@]h.u-tokyo.ac.jp にご連絡ください([]を除いてお送りください)
 ②  FAX: 03-5800-9035 にご連絡ください。

脳機能・構造の身体疾患への影響の探索

近年、腸内細菌が脳に及ぼす影響や胃炎の脳機能への作用が研究されつつあり、このような器質的身体状態がどのように脳機能や構造に影響するか、という問題が再注目され、ヨーロッパを中心に神経科学の視点からの研究が始まっています。一方、その逆の関係性、すなわち、脳神経系が身体疾患にどのように影響するかは、臨床上・生物学上の重要性にも拘わらず、ほとんど調べられていないのが実情です。 

当センターでは、理化学研究所との共同研究のもと、亀田総合病院をはじめとする複数の臨床医療機関が参加する多施設共同研究を通じて、「脳機能・構造」をもとにした身体疾患の発症リスクや予後予測、新しい発症危険因子を明らかにすることを目指しています。健診受診者から収集されたビッグデータを解析することで、脳機能・構造と消化器疾患、糖代謝疾患、動脈硬化疾患、内分泌疾患、悪性腫瘍などとの相関を明らかにすることを目標に、2018年から開始しています。

(渡部喬光、大関敦子、山口敏弘、山道信毅)

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予防医学センターにおける後ろ向き非介入研究へのご協力のお願い


東京大学医学部附属病院 予防医学センターでは、受診者の皆様の健康維持・増進のための人間ドック業務を行うとともに、検診で得られた臨床情報および検査結果について詳細な検討を行うことにより、予防医学の発展を目指した臨床研究を行っています。

【研究課題】
脳機能・構造の身体疾患への影響の探索

【研究機関名及び本学の研究責任者氏名】
この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。

研究機関   東京大学医学部附属病院 予防医学センター
研究責任者  センター長・准教授 山道 信毅
担当業務   データ収集・匿名化・データ解析

【共同研究機関】
研究機関   理化学研究所 高次認知機能動態研究チーム
研究責任者  副チームリーダー 渡部 喬光
担当業務   匿名化・データ解析
研究機関   亀田総合病院附属幕張クリニック
研究責任者  院長 和田 亮一
担当業務   データ収集・匿名化・データ解析
研究機関 NTT東日本関東病院 予防医学センター
研究責任者  センター長 郡司 俊秋
担当業務   データ収集・匿名化・データ解析

【研究期間】
承認日~2023年3月31日

【対象となる方】
2007年7月1日から2023年3月31日の間に当院予防医学センターにおいて人間ドックを受診された方

【研究の目的】
  人間ドック受診の際の問診で得られた臨床情報(現在または過去におかかりの疾患、服用されている薬剤、喫煙・飲酒などの生活習慣に関する情報など)、身体診察・測定所見や、検診目的で採取された血液・尿・便検体および、生理検査・放射線検査・内視鏡検査・病理組織検査・神経心理検査などのデータを解析することにより、脳機能・構造をもとにした身体疾患の発症リスクや予後の予測・新しい発症危険因子を明らかにすることを目的としています。疾患は主に消化器疾患、糖代謝疾患、動脈硬化疾患、内分泌疾患、悪性腫瘍などを対象としています。

【研究の方法】
  本研究はあくまで過去の人間ドック受診時のカルテや診療端末に保存されているデータを収集し解析するものであり、受診者の皆様に検診項目以外の検査を追加で行うなどの介入を伴うものではありません。そのため、本研究により受診者の皆様の健康状態に直接に影響を及ぼすことはありません。(本調査とは別に、追加で生体試料を採取する研究へのご協力をお願いする際には、別途倫理委員会の承認を受け、個別に対象の方にご説明を行い同意の得られた場合にのみ実施いたします。)
  本研究において、受診者の氏名、生年月日など、ご本人を特定できるような個人情報は省かれた状態で管理・解析され、外部にこれらの情報が漏洩することはありません。脳画像データはご本人を特定できるような個人情報が省かれた後に、暗号化された記録媒体を用いて理化学研究所に搬送され、解析を行います。研究により得られた結果を学会および学術論文などで公表する場合がありますが、その際にも個人情報が含まれることはありません。
  この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。

【個人情報の保護】
  あなたの人体試料や情報・データ等は、解析する前に氏名・生年月日等の個人情報を削り、代わりに新しく符号をつけ、どなたのものかわからないようにした上で、当研究室において山道信毅(管理責任者)が、個人情報管理担当者のみ使用できるパスワードロックをかけたパソコンで厳重に保管します。ただし、必要な場合には、当研究室においてこの符号を元の氏名等に戻す操作を行い、結果をあなたにお知らせすることもできます。
  この研究のためにご自分のデータを使用してほしくない場合は、ご本人(研究対象者死亡などの場合には代諾者の方)が、下記の研究事務局に2023年3月31日までにご連絡ください。ご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせて頂きます。なお、研究協力を拒否された場合においても、受診者の方が当施設での人間ドック受診や当院での診療において不利益を被ることはありません。
  研究結果は、個人が特定出来ない形式で学会等で発表されます。収集したデータは厳重な管理のもと、研究終了後5年間保存されます。なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示いたしますので下記までご連絡ください。ご不明な点がありましたら研究事務局へお尋ねください。
  この研究に関する費用は、東京大学医学部附属病院 予防医学センターで取得している委任経理金から支出されています。本研究に関して、開示すべき利益相反関係はありません。尚、あなたへの謝金はございません。

      2018年12月

【問い合わせ先】
東京大学医学部附属病院 予防医学センター
研究責任者:予防医学センター センター長・准教授 山道 信毅
住所:東京都文京区本郷7-3-1
電話:03-5800-9033

本研究は東京大学の研究倫理審査委員会において、承認されており、データ集積を開始しています。

生活習慣病における腸内細菌の役割についての検討

我が国において糖尿病患者は増加の一途をたどり、罹患者数は1000万人を超える。糖尿病は成人における主要な生活習慣病であり、肥満・高脂血症・高血圧・高尿酸血症・喫煙など共に、心筋梗塞や脳卒中の発症を促す危険因子である。因って糖尿病などの生活習慣病予防を強化することは医療経済面でも喫緊の課題といえる。

大腸癌などの発症要因として腸内細菌の関与が指摘されるが、近年、腸内細菌と肥満や糖尿病の関連が明らかとなっている(Nature 2013 : 498: 99-103)。人間の腸内には100兆個以上の腸内細菌が生息し、これらの腸内細菌は、大腸組織への病原体の侵入を防ぎ感染を防御する。しかし高脂肪食などエネルギー摂取量の過多により腸内細菌叢が変化すると、慢性炎症などが惹起され、糖尿病の発症誘因となる。従って摂取する栄養素やエネルギー状態によって変化する腸内細菌叢を解明することは、肥満や糖尿病発症の予測ならびに新規治療の探索に役立つと考える。

本研究では、東京大学糖尿病代謝内科・病態治療部、理化学研究所、医薬基盤・健康・栄養研究所、神奈川県立産業技術総合研究所と共同し、メタボローム解析、16S・メタゲノム解析、ヒトゲノム解析、トランスクリプトーム解析を行い、腸内細菌の遺伝子情報や菌種と当センター臨床情報を統合することで、生活習慣病の発症・進展メカニズムについて検討する。

(水野由子、山道信毅)

膵癌における脂質メディエーターについての検討

膵癌は我が国における部位別癌死亡の第4位を占め、年間3万人以上が亡くなっている。画像診断や治療法の進歩にも関わらず、膵癌の5年生存率は約5%と予後不良である。治療成績向上のためには、早期診断による外科的切除が重要だが、診断時すでに進行していることが多く、根治的切除術の対象となる症例は20%程度に限られる。膵癌の危険因子として家族歴、糖尿病、慢性膵炎、遺伝性膵炎、膵嚢胞性疾患、喫煙などがあり、早期診断のためにはリスクに応じた定期的なスクリーニングが望ましい。現在、膵癌のスクリーニングには腫瘍マーカー(CA19-9等)や腹部超音波検査が汎用されるが、万全ではない。早期膵癌の更なる検出率向上には、新たな検査法の確立が必須である。

脂質メディエーターは体内で合成される生理活性脂質であり、細胞増殖、分裂と分化制御、免疫、生体防御などの幅広い生理機能を持つ。これらの生理活性の破綻が悪性腫瘍や免疫疾患、精神・神経疾患などの発症や進展に関与することは、薬理学的あるいは遺伝学的研究により証明されている。本研究では、東京大学消化器内科、島津製作所株式会社と共同し、一部の脂質代謝物の機能分析に止まらず、高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS/MS)を用いることで、膵癌における脂質メディエーターの「網羅的探索」を行う。膵癌患者ならびに健常者(人間ドック受診者)の血中脂質メディエーターを比較し、膵癌に特徴的なスペクトラムを同定、スクリーニングにおける有用性を検討する。

(水野由子、山道信毅)

骨密度低下と心血管関連指標の検討

近年、骨粗鬆症は心血管病危険因子として注目され、骨粗鬆症と動脈硬化に共通するメカニズムの解明が進んでいる。欧米の報告ではあるが、骨密度が低下した症例群において脳卒中(EPIC-Norfork study)及び心不全(Cardiovascular Health study)の発症が増加した。本邦でも、地域住民を対象とした追跡調査JPOS Cohort研究が行われ、骨密度低下と早期動脈硬化の関連が示された。これらの結果を踏まえ、本研究では骨密度低下と心血管疾患の関連を示す「骨・血管連関」に着眼する。

骨粗鬆症の罹患数は人口の約1割強を占め、骨粗鬆症性骨折は寝たきりの主要因である。また高齢者では、糖尿病、高血圧、慢性腎疾患、慢性閉塞性肺疾患など他疾患が併存するほか、サルコペニアや低栄養など栄養・代謝への留意が必要である。本研究では、動脈硬化や血管の硬化度の評価に加え、心臓超音波検査による心臓超音波ストレイン解析を施行し、心血管関連指標(動脈硬化、早期心筋障害、潜在性心不全)と骨密度低下の関連につき検証を行う。同時に、肥満のフェノタイプや栄養状態の層別化を行い、サルコペニアや低栄養も視野に入れた包括的な検討を予定している。

(水野由子)

健常者における潜在的心機能障害に関わる検討

ストレイン心臓超音波検査は従来の心臓超音波検査と比較して、早期の心筋障害や心機能低下を検出することが可能である。本研究では当院循環器内科に新規導入されたソフトウェアを用いることで、より詳細な心臓の機能評価(ストレイン解析)を遡及的に行い、潜在的な左室・左房・右室機能と検診の各種データとの関連を検討することを目的とする。

動脈壁硬化(Arterial stiffness)と左房機能の検討
  動脈壁硬化(Arterial stiffness)が亢進した症例では心房細動の発症率が高く、かたや心房細動症例では左心房ストレイン値が心房繊維化を反映するとされる。本研究では洞調律例の左心房機能に注目し、動脈壁の硬化度との関連を検討する。

潜在性左室機能障害の予測因子の探索
  非心疾患症例を対象に、左室全分画における長軸方向のストレインの平均値(LV global longitudinal strain; LVGLS)を遡及的に計測し、潜在性左室機能障害を予測する生物指標を探索する。

体格指標(Body size metrics)と右心形態・機能の検討
  肥満は右室拡大や右室機能低下と関わることが報告されるが、潜在的右室形態・機能変化についての検討は十分でない。本研究では、肥満度、腹囲、体脂肪率などの体格指標データと右室ストレインの関連を検討する。

(水野由子)

循環器疾患の予防に関する研究

循環器疾患(冠動脈疾患、脳卒中、心不全など)は死因の上位を占め、また関連する医療費も増大している。致死率の高い循環器疾患だが、予防が非常に有効であるという特徴を持ち、これまでも医学研究に裏付けされた予防啓発により、疾患の罹患率・死亡率の低減が図られてきた。直近では2018年に、日本循環器学会と脳卒中協会の主導のもと「脳卒中・循環器病対策基本法(健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に関する基本法案)」が成立した。同法案の礎となる「循環器病克服5ヵ年計画」でも「予防と啓発」は重要な戦略とされる。本研究では、冠動脈疾患や心不全など循環器疾患の予防に関する研究を行う。

早期の心臓拡張能障害を予測する脂質指標の検討 

喫煙と頚動脈プラークの関連 

頚動脈プラークへのHDLコレステロールの関与

腎機能正常被検者における経時的腎機能悪化のリスク因子

経時的体重変化と血圧変化についての解析

検診データを用いた高血圧と頸動脈内中膜肥厚(IMT)の解析

MHO(Metabolically Healthy Obesity)と頸動脈内中膜肥厚(IMT)の解析

(
水野由子)

ラテックス法に基づくH. ピロリIgG抗体測定の有用性の検討

H. pylori感染は胃がんの最大の危険因子であり、その伝播経路は経口感染ですが、明らかな保菌率の地域差が存在すること、主に乳幼児期に持続感染状態が成立することが知られています。除菌治療が可能であること、除菌によって胃がんリスクが低下することなどから、H. pylori感染は予防医学の観点からみた重要な対象疾患と考えられています。

検診の場におけるH. pylori感染診断法としては血中抗体測定が浸透しており、当ドックにおいても血清H.pylori抗体測定とペプシノゲン法を併用した胃がんリスク検診を実施しています。試薬は栄研化学の「Eプレート‘栄研’H.ピロリ抗体II」が最も用いられていますが、用手法であり多数の検体処理には向かないため、自動分析装置で短時間に多くの検体処理を可能とするラテックス法への切り替えが期待されています。

本研究は恵比寿健診センターとの共同研究として、恵比寿健診センターへ人間ドック目的に来院した健常受診者の血清を用い、現在のスタンダードである「Eプレート栄研’H.ピロリ抗体II」を対照に、ラテックス凝集免疫比濁法を測定原理とする栄研化学のLZテスト栄研’H.ピロリ抗体」と富士フイルム和光純薬のLタイプワコーH.ピロリ抗体・Jを比較解析するものです。ラテックス法の診断精度を明らかにすることによって、検査室の効率化や検診結果の迅速性、胃がん検診の適正な運用に不可欠なデータを提示し、この分野におけるエビデンスの構築に寄与したいと考えています。

(高橋真美、山道信毅)

頸動脈超音波で検出する動脈硬化性変化と認知機能低下の関連についての検討

<作成途中です>
Association of subclinical carotid atherosclerosis with immediate memory and other cognitive functions.
Geriatr Gerontol Int. 2018
Jan;18(1):65-71. doi: 10.1111/ggi.13142. Epub 2017 Aug 4.
PMID:28776906
(松本ルミネ)

骨密度と大脳深部白質病変および認知機能低下の関連についての検討

<作成途中です>
※本研究は、平成29年度 骨粗鬆症財団研究助成を受けています。
(松本ルミネ)

20189月に新たにオープンした東大病院予防医学センター(人間ドック)は、201810月の受診者枠の増加に続き、20194月に更なる増枠をいたしました。現在は予約が非常に取りやすくなっていますので、皆さまの健康維持のために、ぜひ、東大病院予防医学センターの人間ドックをご活用ください。

東大病院